(1)引き続き5年以上日本に住所を有すること
ここでいう「引き続き」とは、たとえ一旦海外へ出国した場合でも、再入国許可を取って一時的に日本を出た場合は除かれます。すなわち、在留資格が切れることなく、変更・更新して5年以上日本に住んでいることが必要となります。ただし、在留資格は切れていなくても、1年のうち半年以上海外に滞在しているような場合(海外赴任や留学など)は問題となることがあります。
(2)20歳以上であること
ただし、両親と同居して親の扶養を受けている子供で、両親と一緒に世帯単位で帰化する場合は、子供は未成年でもかまいません。
(3)素行が善良であること
この「素行が善良」と言う言葉は漠然としていますが、要するに一般良識的に見て善良な市民である、ということです。具体的に以下のようなケースは問題となることがありますので、注意が必要です。
a) 刑事事件を犯した場合。有罪判決を受けて刑の執行中、或いは執行猶予中の場合は帰化の許可はまず下りません。また、交通違反につきましても、悪質なもの(ひき逃げや飲酒運転など)については問題となります。一方、駐車違反や一旦停止違反など、1〜2点の軽微な違反については帰化申請にはあまり影響はありません。(もちろん違反はない方がよいのですが)免停程度の違反(酒気帯び、超過速度の大きいスピード違反、軽微な違反の蓄積など)であれば、その違反から3〜5年は帰化申請は難しいことが多いです。
b) 納税義務を果たしていない場合。会社員の場合は源泉徴収によって自動的に税金が天引きされていますので、ほぼ問題はありませんが、自分で商売をしている場合には、確定申告をしていない、あるいは以前に重加算税の追徴を受けたことがある等は問題です。また、ばれていなくても過少申告をしていると、帰化申請の審査中に指摘を受けることもあります。所得税だけでなく、住民税、固定資産税や自動車税の滞納にも注意が必要です。
c) やや、b)にも関連しますが、許認可が必要な業種(飲食店や建設業、産廃業など)を商売としている場合に、無許可で営業をしていると問題となります。
d) その他、帰化申請を希望している方、もしくは既に申請をして審査中の方は、どんな軽微な違反であっても細心の注意を払う必要があります。お酒を飲んで盛り場でケンカをしたりしないように。たとえ相手からふっかけられた場合であっても、ここはグッとがまんでお願いします。
(4)生計条件
自分自身、もしくは生計を同じくしている配偶者やその他の親族が、今後安定して生活を維持しているだけの収入や資産があるかどうかがチェックされます。
この条件についてよく「いくら位貯金があれば帰化できますか?」と言う相談を受けることがあります。現在、帰化の条件に「○○円以上預貯金があること」というようなものはありません。まして、お金持ちしか帰化が許可されないと言うことは全くありませんので、そのような心配は無用です。
定職について毎月決まった給料があるような方はまず大丈夫です。また、失業中や病気療養中で仕事をしていない場合であっても、生活していけるだけの資産(不動産や預貯金)があれば大丈夫です。特に、特別永住者の方なら、生活保護を受けずに暮らしていれば一応この条件はクリアできると言えるでしょう。
(5)不法団体条件
反社会的な団体(日本政府を暴力で破壊しようとする団体など)に加入したことがないこと。一体、どんな団体が「日本政府を暴力で破壊しようとする団体」に該当するのかは知りませんが、おそらく国際テロ組織や公安調査庁がマークしているような団体を指すんでしょうね。
(6)その他
日常生活に困らない程度の日本語能力(読み書き・会話両方)が必要です。一般に小学校3,4年生の教科書程度は読み書きできなければならない、と言われています。ニューカマーの方にとっては、この条件はかなりの壁になるようで、「しゃべるのはペラペラだけど、読み書きが苦手」と言う方は少なくありません。特に、漢字圏以外の国の方にとって日本語の読み書きは相当難しいようです。
また、一体何故日本に帰化したいのかという理由も非常に重要な項目です。単に「日本のパスポートがあればどの国にも自由に行けて仕事に便利」というようなものはダメです。ニューカマーの方の場合、帰化を希望する理由を手書きで書かなければならない上、面接でもこの点は詳しく聞き取り調査が行われます。
※ 最後に。これらの要件につきましては、申請者の身分関係(例えば配偶者が日本人であるなど)によって軽減される場合がありますので、実際に手続きをされる場合には詳細をご確認下さい。
(1) 帰化許可申請書(写真貼付) ※
(2) 親族の概要を記載した書面 ※
(3) 履歴書 ※
最終卒業証明書又は卒業証書
在学証明書、学生証写し
技能及び資格証明書、各種免許証
自動車運転免許証写し(表裏両面)
(4) 帰化の動機書(本人手書き・日本語) ※
(5) 国籍・身分関係を証する書面
韓国・台湾……本国の戸籍謄本(父母、本人)
中国……国籍証明書
出生公証書、死亡公証書、結婚公証書、離婚公証書
親族関係公証書
その他…国籍証明書
出生証明書、死亡証明書、婚姻証明書、離婚証明書
親族関係証明書
上記外国語の書類の日本語訳文(翻訳者明記)
パスポート・渡航証明書写し
出生届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
死亡届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
婚姻届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
離婚届書(日本での戸籍届書の記載事項証明書)
その他(養子縁組・認知届・親権を証する書面・裁判書)
日本の戸(除)籍謄本
(6) 住所証明書(同居者全員)
住民票
外国人登録原票記載事項証明書
(7) 生計の概要を記載した書面 ※
在勤及び給与証明書 or 社員証の写し、給与明細書
土地建物登記事項証明書(登記簿謄本)
賃貸契約書の写し
預貯金通帳の写し
(8) 事業の概要を記載した書面 ※
会社登記事項証明書(登記簿謄本)
営業許可書、免許書類の写し
(9) 納税を証する書面
○給与所得者(確定申告義務なし)
源泉徴収票
市町県民税納税証明書(非課税の場合は所得証明書)
○給与所得者(確定申告義務あり)
源泉徴収票
市町県民税納税証明書(非課税の場合は所得証明書)
所得税納税証明書(その1、その2)
確定申告書(控写し、含収支内訳書)
○個人事業経営者
市町県民税納税証明書(非課税の場合は所得証明書)
所得税納税証明書(その1、その2)
消費税納税証明書
事業税納税証明書
確定申告書(控写し、含収支内訳書)
源泉徴収簿、納付書及び領収書
○法人経営者
源泉徴収票
市町県民税納税証明書(非課税の場合は所得証明書)
法人市町県税納税証明書
法人税納税証明書(その1、その2)
消費税納税証明書
法人県民税納税証明書
事業税納税証明書
法人税確定申告書(控写し、含収支内訳書)
源泉徴収簿、納付書及び領収書
(10) 運転記録証明書(過去5年間)
(11) 居宅・勤務先附近の略図 ※
注1)※は法務局から配布された用紙に、本人が記入する書類です。
注2)これらの書類全てが必要というわけではありません。申請内容に応じて法務局から必要となる書類が指示されます。特に、特別永住者の方については、かなり提出書類が軽減されます。
注3)逆に、申請内容によっては上記以外の別の書類を追加で求められる場合もあります。